そういえば、1970年代頃か、シンガーソングライターってよく耳にして、かっこいいなと思っていた。
私は、音程がとれないので歌が歌えない。その曲として作られた旋律を歌わなければならないのに、その旋律を自分の中から引き出すことがうまくできない。音痴であることを恥ずかしく思っていた。
ところで、何かの折に、絶対音感というのは、人類は進化の過程で失っていったというようなことを読んだ。なんだそうか、私は進化している方の人類なんだと気づいて、歌を上手く歌えないことを恥ずかしく思うことをやめた。歌を上手く歌えなくても、生きるのに特に不自由はないのである。
このところ、朗読を行うようになって気がついたことであるが、私が思っている朗読というのは、かなり音楽的なものを含んでいるかもしれない。言葉にメロディーをのせるもの。ただ、楽譜はないので、メロディーは自分で勝手につけてよい。私には好都合だ。朗読はその都度、勝手に作曲して歌っているようなものだ。作曲と言ってもそれほど意識的に作っているというほどではない。メロディーというほど大げさでなくても微妙な抑揚が言葉を発するときにおのずとついてくる。自然な抑揚が、それを発することが心地よい。言葉には意味があり、その意味を理解すると、声に抑揚が生まれる。
私は、これまでシンガーというのは自分には全く不向きだと自覚していたが、10代の頃から、なぜだかライターになりたいとは思っていた。その割には、お話の一つも書くことなしに半世紀が過ぎていた。
ただ、新潟のむかし話を読んでいたら、ちょっと疑問がわいたり、もっとこうであったらと思うことがあり、ふとしたきっかけもあり、自分でお話を作り始めることになった。それまで朗読をやってきたことが、創作につながってきた。
お話は、私にとっては、活字を生み出すことではなく、声にして語るためのものである。
むかし話をもとに、自分の言葉でお話にして、自分で語っていくことは、思いがけない楽しさとなった。
よーし、これからは、めざせ、シンガーソングライターだ。
令和3年長月 秋晴れ
令和からの紙芝居と語り 悠久城風の間
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