悠久城風の間 blog語り部のささやき

悠久城風の間の語り部 楯よう子のささやき

鳥のみじさまのはらの歌声のように?

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いうまでもないが、「鳥のみ」は、「鳥の身」でも「鳥の実」でもなく、「鳥飲み」または「鳥呑み」である。

うっかり鳥を飲みこんでしまったじさまの話。

ちっちゃこい畑を一生懸命、耕していた働きもんのじさま。このつつましさだけでも、わたしはこのじさまに好感を持ってしまう。そして、ばさまに、こっしゃってもらったやきめし。当然、山にはコンビニはない。家から持って来る。ばさまが握ったとなると、素朴なおいしさが感じられるではないか。じさまの幸せ度アップ。そこへ遊びにきたちっちゃい鳥にまんまつぶを分けて上げ、戯れる。楽しさアップ。じさまは鳥と遊んで、あんまり楽しいのでアハハと笑い、はずみで鳥を飲みこんでしまった。じさまは慌てるが、鳥は、とりたてて、とりすましているわけでもなく、落ち着いている。そしていうのだ。「じさまのはらの中でくらせますすけ」なんて胆の据わった鳥だろう。運命に従順というべきか、優れた適応力か?そしてお礼に(家賃代わりに?入所諸費用?食費?光熱費として?)「歌うたいますすけ」という。じさまは鳥の歌をばさまに聞かせたり、お殿様に聞かせたり。楽しさのおすそ分け。お殿様も喜んで、酒をふるまうと、そのお酒をはらの中の鳥も飲んで、もっといい声で歌い出す・・

鳥はじさまのはらの中でくらし、はらの中から歌をうたい、みんなを楽しませていた。鳥をかわいがって、じさまもばさまも長生きした。

人も鳥も、自然が一体となった山里の暮らしである。この調和。こののどかさ。

わたしたちの中にも生きているか?

今は新型コロナウイルスの出現で右往左往。ウイルスというのは、だいたい生物といえるかどうかもわからない粒子だし、新型となれば、なおさら正体がはっきりせず、どう扱っていったものかが、わからない。飲みこんで、平和共存していく道が開けるのか?そもそも人が地球を荒らしすぎ、もうすっかり自然界の調和を崩してしまっているのだが・・。人が恐れているウイルスが、人のからだの中で、人の役に立つ歌声など聞かせてくれるはずもなさそうだ。

とりあえず、現在この国では、風通しの悪い閉鎖空間、ライブハウス、仮設テントなどは最も感染リスクが高いとされていて、テント小屋で狂女を演じる日を夢見て、髪をのばしているわたしを失望させたのだった。今は唾を飛ばしてわめきたてることなど、口にするのもはばかれることなのだ。

 

令和2年弥生 雪なくも、のどかさが例年とは違う3月

 

令和からの紙芝居と語り 

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Works 旅の声 2020年3月1日収録

「鳥のみじさま」新潟のむかし話 

心をうたれてじーんとする話 

新潟県学校図書館協議会編

https://www.youtube.com/watch?v=P5ct2Lpz6RY