悠久城風の間 blog語り部のささやき

悠久城風の間の語り部 楯よう子のささやき

Tora Nyago Tells Her Story

A cat is quietly taking a nap beside you. You should not underestimate such a cat because it may be casually watching you. It may be giving you some unnoticeable little inspiration and it can even make you take action. As Tora the cat save…

めざせシンガーソングライター

そういえば、1970年代頃か、シンガーソングライターってよく耳にして、かっこいいなと思っていた。 私は、音程がとれないので歌が歌えない。その曲として作られた旋律を歌わなければならないのに、その旋律を自分の中から引き出すことがうまくできない。音痴…

The Story of the Old Princess Otohime Born in the Palace of the Dragon King under the Sea

When I get old, I want to have a relaxing lifestyle. It would be nice to have an easy life, living off my pension benefits, which I have been looking forward to. Taro Urashima instantly became an old man after he returned to his native vil…

Hoin, the Greatest Buddhist Priest, Visits the World of the Dead

In my childhood, I often heard, “If you tell a lie, you will have to swallow 1,000 needles,” or “your tongue will be pulled out.” Actually, it’s been hard for me to live without telling any lies. Am I going to Hell? Will the Great King Enm…

パスティーシュ第18 弾「末っ子うさぎの語り」

のんびり穴の中でいつまでもお昼寝していられたら、楽ちんでいいよね。 冬眠どころか、春になっても寝ていたい・・。カエルのフッケロみたいに。 夏の暑い時には、ひんやりとした穴の中が気持ちよさそう。 でも、寝てばかりだと、つまらない? もっと外で飛…

パスティーシュ第17弾「月子あねさの語り」

あなたが鏡をのぞきこんで見えるのは、あなたの顔。あなたが隣の人の鏡をのぞきこんでも、そこに見えるのはあなたの顔。 結局、見えるのはいつも自分の顔っていうことよね? 新潟のむかし話2「あんじょさんの裁判」を読んだ人々は、みな、口々に言うのだっ…

パスティーシュ第16弾「鏡杉の語り」

「山の上から水を引かないことには、どうにもなんねえ。この際、鏡杉を切り倒して、田んぼに水を引こう。でなけれりゃ、おれたちが干上がってしまうからな。」 三郎太が言った。 「何をいっているんだ。鏡杉は村の守り神だ。守り神を切り倒して、おれたちが…

パスティーシュ第15弾「長い長い名前の子の語り」

あなたは、長い髪、すてきだと思う? きれいな長い髪、あこがれだわ。風に揺れる長い髪。 でも、仕事中は髪が長いとじゃまかも。 とにかく、きれいでなくっちゃ。 ただ、長ければいいというわけでもないわよね、女の髪は。 ・・・そして人生もそうかも・・ね…

パステーシュ第14弾「青いみつばちブンブンの語り」

あなたは昨日の夜、どんな夢をみたの?わたしは花園でチョウチョになっていたわ。でも6時になって目覚ましがなると、チョウチョではなくなっていた。もっとチョウチョでいたかった。花から花へと、遊んでいたかった・・・ そしてあなたの夢の花園へも遊びに…

パスティーシュ第13弾「竜宮生まれ乙姫ばばさの語り」

年をとったら、のんびり暮らしたいね。憧れの年金暮らし。らあくらくと暮らしていけたらいいよね。浦島太郎みたいに、村に帰ったら、一気に年取ってしまって、だれも自分を知らないとなると、助けてくれる人もいないわけだけど・・・。 まあ、そこにいくと、…

パスティーシュ第12弾「みなしご山猿きっきの語り」

誰も助けてくれないとき、あなたならどうする? もっと助けてくれそうな人を探す?そうね。それもひとつね。でも探しても見つからなかったら? うーん。とりあえず、寝て待つわ。じたばたして疲れるよりましでしょ。 新潟のむかし話2「猿むこさ」を読んだ人…

パスティーシュ第11弾「山賊女房お花の語り」

そりゃね、出会った頃にはね、あの人も澄んだ瞳でわたしを見た。そういうときもあったわ。いつからかしら。あの人の目がわたしに向けられなくなったのは? それである時、わたしはのぞいてみたの、あの人の目を。そしたら、なんか、どろんとしていただけ・・…

パスティーシュ第10弾「天下りかっかー鬼婆になっての語り」

鬼婆は死ぬことがないらしい。長生きして、いつまでも生き続ける。若さが失われて、醜くなって、恥じらいもなく、食べることだけはあさましくなって。 ぼんやりしていたら、わたしもそんな鬼婆になるのかしら。そんなのいやだわ。でも、もう、半分、鬼婆にな…

パスティーシュ第9弾「大蛇になったあねさの語り」

あなたは、おはぎ好き?わたしは大好き。三つも四つも食べられるわ。そんなに食べて大丈夫?って、あなたは思うのね。大丈夫。食べたいだけ食べましょう。食べたいときに食べたいだけ食べるのが、しあわせ。遠慮したり、気取ったりは、なしよ。 昔は、らくら…

パスティーシュ第8弾「冥土めぐり法印の語り」

嘘をついたら、針千本飲ますとか、舌を抜かれるとか、子どもの頃には、よく聞かされたわ。でも、わたしには、嘘をつかないで生きていくことは、難しかった・・・ わたしは、地獄に落ちるの?閻魔さまの裁きって本当にあるの・・・・ 新潟のむかし話2「法印…

パスティーシュ第7弾「天人かかさ かっかーの語り」

穏やかで平和な毎日が続くこと。それを願うのは、あなたが、心穏やかでなく、争いやわざわいの多い日々をかかえているということかしら。 穏やかな日が急に奪われるのは困るわ。ただ、そのために、わたしは小太郎を授かったのだった・・・母であるわたしには…

パスティーシュ第6弾「ネコ巫女ミーコの語り」

ネコは、神秘的な目をしている。きらきらと輝く その目で何を見ているの。何を考えているのかしら。黙ってあなたの膝にのってくるかと思うと、プイと勝手に外に出かけてしまったり、気まぐれなネコ。コタツで眠ってばかりいることも・・・。 眠っている間は…

かんなり太郎ドンドコの語り

雷の光ととどろきは、地上に何をもたらすのでしょう。 五穀豊穣を?生命の芽生えを?遺伝子の変異を? それとも、私たちに天の怒りの恐ろしさを、思い知らせようとしているのかしら?・ ・・・ 新潟のむかし話2「かんなりさまの子ども」を読んだ人々は、み…

顔がほしい「ムジナぬっぺらんの語り」

世間じゃ、器量よしでないと、かわいがられないの?器量よしでないと相手にされないの? 嫌われるだけ?不細工な顔はどうしたらいいの。捨てればいいの? 生まれたときから、わたしの顔は不細工。そしてだんだん、もっと崩れた。 こんな顔、とりかえたい。 …

鼻が長くなった「天狗どんわんの語り」

世間はわずらわしい。ひとり自分の巣の中で、眺めていたい、人々の祭りを。踊りを。人生のゲームを。そんな日々を、神ならぬ天狗も、そして、もしかして、あなたも望んでいるかしら。それは魅力的なあなただけの巣ごもり楽園。でも、そこには危険な罠が・・…

朝日になりたい弟 「夕日ぎんぎゃあの語り」

子どもをいじめて、虐待して、一人取り残された・・・ 夜も昼もなく、灰色の時間が流れるだけ・・ この心は何も感じない・・・ 朝日も見えない、夕日も見えない。 眠ろうにも、眠れない・・ いくら飲んだくれても、忘れさせてくれない・・ 重いからだをかか…

トラにゃーごの語り

新潟のむかし話2「猫檀家」を読んだ人々は、みな、口々に問うのだった。 「どうして姫君の棺桶が天につり上がって、動かないでいるの?」 「トラが姫君の棺桶を操っているの?」 「いったい、トラって何者?」 そこで、わたしは、トラに取材を試みた。以下…

成功への道

高齢者施設で紙芝居をしたとき、「宝物をもらえる話がいい」と言われたことがあった。 たいていの人は「大判小判がざっくざく・・」と聞くとうれしくなるものだ。 はなさかじいさん、ももたろう、たのきゅう、かさじぞう、たこやたこざえもん、したきりすず…

鬼婆というワイルドな生き方

新潟のむかし話2の「鯖売りと鬼婆」 この作品に心ひかれるのは、鬼婆のシンプルな生き方を見るからだろう。 わたしは以前から山姥や鬼婆にあこがれていたのだった。 その生命力。鬼婆は、鯖売りの鯖を奪って食べ、牛を丸ごと食べ、それから鯖売り自体をも食…

山賊の涙

新潟のむかし話2の「山賊の弟」 この作品が心を打つのは、山賊の涙が清らかだからだろう。 恐ろしい姿となっている山賊と、まじめに勤めを続けていた弟との偶然の出会い。 山賊は弟とは知らないで、弟の有り金全部を巻き上げた。その時弟に与えたさびた刀は…

世界は鏡の中に

新潟のむかし話2の「あんじょさんの裁判」 まるくてピカピカ光るもんのなかに、兄が見出したのはなつかしいおとっつあの顔。 しかし、いつもこっそり2階に上がってブツブツ言っている兄を怪しんだあねさ(嫁)が、見出したのは、若くて器量よしの女しょ。 …

たんこぶオチと井戸落ち

新潟のむかし話2の「長い長い名前」 古典落語の世界にも「寿限無」があり、早口言葉としても親しまれている。 生まれた子どもがいつまでも元気で長生きできるようにと考えて、とにかく「長い」ものが良いととんでもない名前を付けた、という笑い話。 落語は…

おはぎが食べたい

新潟のむかし話2の「大蛇の目」の嫁。 かわいそうで涙が出そう。なんで嫁(あねさ)は、目のない大蛇になったのか。 嫁は、おはぎを食べたいだけだったのに。 わたしも、おはぎが食べたい。おはぎが好物だ。こっそり食べれば、うまさ100倍? 十三夜の日、お…

フッケロになるには?

新潟のむかし話2の「兎とフッケロのとびっくら」のフッケロ。 なかなかの好人物(好カエル)だ。こんな人になれたらと思う。 ① まだ、ねむったいところを起こされても怒らない。② 兎が勝手な約束を決めて勝負を仕掛けるが、自分は勝てないと思っても走り出…

杉の木の気持ち

新潟のむかし話2の「鏡杉」の態度はりっぱだ。 この地では、昔から杉は育たないと言い伝えられていたのではなかったか? あにはからんや、冬の強い風にもめげず、杉は大きく育った。 何百年も生きた。大木となり、しかも村人の気持ちがわかるのだった。暗い…